Column

中小企業が最初にやるべきAI活用、3つ

AIの話は、いきなり大きな仕組みの話になりがちです。でも中小企業に必要なのは逆で、いま時間を取られている作業を1つ選んで、そこだけ軽くすることです。具体的な3つを挙げます。

大きな仕組みから入らない

AIの話になると、いきなり「業務全体を自動化する」といった規模の話になりがちです。中小企業にとって、これはたいてい失敗します。

理由は2つです。ひとつは、投資が回収できないこと。もうひとつは、導入した人しか使えない仕組みになりがちで、その人が抜けた瞬間に止まってしまうことです。

おすすめするのは逆のやり方です。いま手作業でやっていることのうち、いちばん時間を取られている作業を1つだけ選ぶ。そこにAIを当てて、月に何時間か浮かせる。それが定着してから、次へ進む。

地味ですが、これがいちばん確実です。以下、実際によくお手伝いする3つを挙げます。

1つめ:問い合わせ返信の下書き

問い合わせへの返信は、内容の8割が毎回似ています。それでも、書き始めるまでに時間がかかる。そして返信が遅れると、その間に他社に決まってしまいます。

ここでAIにやってもらうのは下書きまでです。よくある質問と、それに対する自社の答え方をあらかじめ登録しておき、問い合わせが来たら返信案を作らせます。

最後は必ず人が読んで直します。自動送信にはしません。それでも、白紙から書くのと下書きを直すのとでは、かかる時間がまるで違います。

2つめ:文章の下ごしらえ

ホームページの更新やお知らせの投稿が止まる理由の大半は、「書く時間がない」ではなく「白紙から書き始めるのがしんどい」です。

だから、書く工程を分けます。まず話す。それを文章の形にするところまでをAIに任せる。事実確認と手直しを人がやる。

移動中にスマートフォンに向かって3分話すだけで、記事1本の材料になります。「今日、こういう相談があって、こう答えた」——それだけで十分です。

注意点として、AIが書いた文章をそのまま出すのはおすすめしません。事実が間違っていることがありますし、何よりその会社らしさが消えます。読む人はそこを見ています。

3つめ:写真と資料の整理

いちばん地味で、いちばん時間を食っているのがこれです。

  • 現場で撮った写真が、日付だけのファイル名で数千枚たまっている
  • 古い提案資料から、必要な数字を探し出すのに毎回30分かかる
  • 打ち合わせの内容が、誰のノートにも残っていない

写真に説明をつける、資料から必要な情報を抜き出す、録音から議事録を作る。こうした作業はAIが得意とするところです。

記録が整理されると、次の判断が速くなります。これが本当の効果です。

やらないほうがいいこと

  • 人が確認しないまま外に出る仕組み——間違いが出たときに取り返しがつきません。
  • 導入した人しか触れない仕組み——引き継げないものは、資産になりません。
  • お客様の個人情報を、確認せずに外部サービスに入れること——利用規約と設定を必ず確認してください。

まとめ

中小企業のAI活用は、小さく始めて、定着してから次へ。これに尽きます。

最初の1つが回るまでは、手を広げないでください。3つ同時に始めると、たいてい全部止まります。

何から手をつけるかは、会社によって違います。いちばん時間を取られている作業がどこかは、外から見たほうが分かることも多いので、一度ご相談ください。

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